皮肉なショッパーバッグ
ショッパーバッグ、買い物した時にもらう紙袋は意外と溜まるとよく聞く。確かに、我が家の戸棚の中にもごっそりあった。おすそ分けをする時や、宅配食材のリユース箱やリサイクルするパッケージ、カタログを戻すものをまとめてたりするのにも使うのだが、実はもっと意図的に残していた部分があった。デザイン資料としてだ。
長らくグラフィックデザイナーとして働いてきた。フリーランスになってからは会社にいた時と比べて仕事も小規模になり、販促物も有りモノにプリントするようなことが多くなっていたのだが、時々封筒や紙袋をパターンから起こす。その時のグラフィックや仕様の資料として積極的に残していたものがあったのだ。
しかし豪華すぎるSPツールが虚飾を具現化したただのゴミにみえてきた3年前、友人と二人でやっていた事務所を畳んだ。商品の理念が納得できないものの広告を作るのも、もううんざりだった。今は自宅で時々装丁や舞台美術を細々行いながら、もう一つ別の仕事と両立している。もうショッパーバッグの在庫いらないな、と思って処分することにした。
この二つは今やってる仕事のアイデアソースとして残留、左によってるのは許されよ
前述の宅配食材のリサイクル用については全部が紙でできているものを選んでおくとドライバーさんが袋ごと持って行ってくれるので家に残っているものは比較的面倒くさいものが多い。
よくあるタイプは袋に穴が空いていて紐が通して裏側で結んであるもの。シャネルのコスメはこのタイプ、紐がプラスティックなので当然ひとつひとつ結び目を外していく。コットンロープのものはどうすれば良いのか場合によるようだが、これもひとつづつ外していく。袋に空いた穴にプラスティックの取っ手をパチッと付けるタイプのものは、あんまりオシャレじゃない業界に多いみたい。丈夫で分別はしやすい。ややこしいのは持ち手を金属のパーツで留めているもの。COMME DES GARCONS EDITED や BEAUTY & YOUTH がこのタイプだったけど、B&Yはもう単体のお店はないんだっけな。これはパーツが外せないのでその部分を破り取る。ああ面倒。
そんなこんなで1時間。紙袋3袋分の紙袋(ややこしい)を古紙回収に出すために分別してまとめた。今まで資料と思っていたけれど、これほどひとつひとつをじっくり見たのは初めて。実に皮肉な話だと我ながら思う。